猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

葡萄の匂い

つぶれた葡萄の匂いに

目を伏せる

怒号を避けて

陽射しを避けて

押し入れに逃げ込んだ

 

名をきちんと呼ばれるのは

叩かれる時だけだ

それは愛なのだろうかと

今でも思う

 

本気で聞いてはくれなかったと

今も思う

 

葡萄を潰して言いがかりをつける

そうまでして家族でいたかったのかと

苦く思う