猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

忘却

綿菓子のような

思い出だったのでしょう

口を開いた端から少しずつ

キラキラ壊れて静かになった

 

風にさらわれるような

記憶だったのでしょう

ペンを持つ指先から僅かずつ

チラチラ崩れて見えなくなった

 

忘れたいことほど

刻み込まれている身としては

あなたの姿がほんの少し羨ましい

美しくて妬ましい