あたしの中で
かたつむりが膨れ上がる
音を吸い
声を吸い
思いを吸って
はみでようと足掻くのだ
幼い頃は心底嫌で
ラジオをそばに置くことすら
できなかった
楽器の音色にも
どうやら無頓着で
習っても励んでも
もともとの絶対音感以外
友人らのような音楽耳は
ついぞ育たなかった
ラジオが大好きになり
音楽も大好きになったのは
はたからみれば無謀にも
楽器を手放してからだ
あたしの中で
かたつむりが膨れ上がる
音を吸い
声を吸い
思いを吸って
はみでようともがくのだ