猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

すっかり満ちる

あっという間に

膝を滑り落ちる

やわらかな塊

視線の先には

のんびり生まれでた

青い蝉

殻ごと地面に転がって

そのままもりもり喰われてしまった

なにごともない顔で

僕の膝にすっかり体重をあずけると

やわらかな塊はもう夢の中だ

すっかり満ちて

夢の中だ

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*イラスト:いとうのりこさん