猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

顔を洗ってゆっくり呼吸した

いつもならパキッとした

夏を彩る花々を選ぶのに

その日手にしたのは

思いがけずやさしい色たち

 

パラリと落ち始めた雫を

かいくぐり家路を急ぐ

 

少し葉をとり

少し茎を短く

丁寧に花をととのえては

生けていく

 

やさしげな色たちが

不意にぼやけ

ぽろぽろぽろぽろ

あふれてとまらなくなった

 

ああそうだ

哀しいことがあったのだと

ようやく思い出して

顔を洗いゆっくり呼吸した

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