猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

夏の香

雨と競争しながら

たどる思い出は

決して平坦なものばかりでなく

あなたの背中で

本当は何を思っていたかなど

責めたてられることが大半である

 

雨と競争しなくても

よくなってからは

フロントガラスをすべりおちる粒に

ふと

思い出なんかに負けないぞ

なんて小さく誓ったりもする

 

雨と競争するのを諦めて

夢からも覚めて

マスク越しの夏の香に

あと半分

そう呟いてみたりする

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