猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

偽物ミニマリスト-4

おうちの中が

すっからかんにかたづきました

命に必要なものは結局

そんなに多くはないのだと

女は満足げに部屋を見渡すのでした

 

悩みの種もかたづけて

嘘をつくのも

正直すぎるのも

好きになるのも

嫌いになるのも

やめました

 

何か忘れているようで

何か落ち着かないようで

ほんのいっとき

心がざわわと騒ぎます

 

自分自身をまるごとかたづけてしまうまで

「ああスッキリかたづいた」

などと宣言できないことを

本能的に知っているものだから

女はまだまだ何かを手放したくて

しかたないのでした

 

おうちの中が

すっからかんにかたづきました

命に必要なものは結局

ほんの少しでよかったのだと

女は部屋を見渡すのでした