猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

人が滅びるとしたら

会うたびに

ご機嫌度は乱高下

キミに言わせればお互いさま

そんなところだろう

 

それでも

鼻の頭をひんやりさせて走ってくると

“待ってたよ”と言いたげにおすわりして

尻尾を動かしている

 

わん!の代わりに

ニャア!が遠くから聞こえて

ぼくは幸せな気持ちになる

 

1週間会えなくても

1ヶ月会えなくても

やっぱりどこからか聞きつけて

 

わん!の代わりに

ニャア!がだんだん近づいてきて

ぼくは幸せな気持ちになる

 

じーっと人の顔を覗き込むやり方を

誰に教わったのだろう

マスカット色の瞳に

ぼくはもう抵抗できない

 

会うたびに

ご機嫌度は乱高下

キミに言わせればお互いさま

そんなところだろう

 

それでも

鼻の頭をひんやりさせて走ってくると

“待ってたよ”と言いたげにおすわりして

尻尾を動かしている

 

もしも人が滅びる原因が

幸せに溺れることだとしたら

それは猫に服従した時ではないのか

 

軽い不安をふりはらいながら

ぼくは膝の上のゴロゴロ音と

温もりに溺れていく