猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

その日

その日

映画みたいだときみはうつむき

戦争みたいだとぼくは泣いた

 

1週間たち

家からありったけの小銭を持ち出して

ふたりでスーパーの募金箱に入れた

 

1ヶ月後

無力さに押しつぶされつつ

友の無事に涙した

 

1年たって

その時刻ちょうどに

黙祷を捧げた

 

天災に名前がつくたび

忘れまいと誓うのに

 

なんでもいいから

やらねばと焦るのに

 

日々に流されていくぼくらの

罪深さを償うすべは

まだ見つからないのだ

 

その日

映画みたいだときみはうつむき

戦争みたいだとぼくは泣いた

 

TVもラジオもネットも

同じ色であふれた