雨のスクリーンが冬を連れ戻して
僕はまたオレンジの香りを探してる
寒いのは嫌いなくせに
マフラーも手袋もすぐ失くして
「きみのポケットがいちばん好き」と
小さな声で言った
その冬もデコレートされたトンネルを
歩くはずだったのに
あなたは
「これ以上きみの想い出が増えなくてよかった」と
なんでもない風に小さな声で言った
寒いのは嫌いなくせに
ふたりで会う朝には必ず
オレンジのシャンプーで髪を洗うから
「遅れそうなの」と
小さな声のメッセージが残った
雨のスクリーンが冬を連れ戻して
僕はまだオレンジの香りを探してる