猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

狂季

春の始まり

秋の終わり

やさしい雨にうたれる風情も

かき消えて

ついには“狂季”とまで囁かれるようになり

誰のせいかと人らが訝り始めたころ

突然空が落ちた

 

誰のせいでもなかったが

誰のせいでもあったのだ

 

確かに鳥も牛もいなくはなったが

猫だけになるという言い伝えは廃れ

空読みの資質を持った人らは

いっとき沈黙を守った

 

その昔季節がまだあった頃

空落ちを語ったものがどうなったかを

よく知っていたからである

 

春の始まり

秋の終わり

やさしい雨にうたれる風情も

かき消えて

ついには“狂季”とまで囁かれるようになり

誰のせいかと人らが訝り始めたころ

突然空が落ちた