春の始まり
秋の終わり
やさしい雨にうたれる風情も
かき消えて
ついには“狂季”とまで囁かれるようになり
誰のせいかと人らが訝り始めたころ
突然空が落ちた
誰のせいでもなかったが
誰のせいでもあったのだ
確かに鳥も牛もいなくはなったが
猫だけになるという言い伝えは廃れ
空読みの資質を持った人らは
いっとき沈黙を守った
その昔季節がまだあった頃
空落ちを語ったものがどうなったかを
よく知っていたからである
春の始まり
秋の終わり
やさしい雨にうたれる風情も
かき消えて
ついには“狂季”とまで囁かれるようになり
誰のせいかと人らが訝り始めたころ
突然空が落ちた