猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

きみの顔も見えないぐらい雨が降った秋の夕方

きみの顔も見えないぐらい

雨が降った秋の夕方

それは突然やってきた

 

鼓膜が裂けそうな沈黙と

網膜が破れそうな暗闇を

それでも愛おしいと思ったのは

どこかに懐かしさを含んでいたからで

やり直せないのは百も承知

 

くだらない噂とフェイクニュースに明け暮れては

居場所を探すバクになった

それぞれが充足しそれぞれが乾ききって

それでも幸福感に包まれるのは

寂しさの裏返しなのに

 

きみの顔も見えないぐらい

雨が降った秋の夕方

それは突然やってきた

 

真実が一瞬花開いたかに見えたが

それは突然