猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

泥濘から

あたしは泥濘から身を乗り出して

あなたに悪態をつく

優しかったふたりの光景を

もう思い出せない


花が散るように言葉も散って

ほの明るい笑みは罪つくりだと


せめてこの泥濘に

ふたり沈んでしまえたら

綺麗事など手放したまま


あたしは泥濘から身を乗り出して

あなたに悪態をつく

さびしかったふたりの体温を

もう思い出せない