あの星には空がなくて
それどころか
すでに猫もいなくて
道案内をしてもらえなかったのは
残念だった
ただただ真っ赤で
ただただ吹き荒れていた
空がすっかり降り終わったから
猫だって人だって
どうしていいか
わからなかっただろうねえ
その日はたまたま
星だけではなくて
時を渡ってしまったらしいと気づいたのは
トーザ・カロットに帰ってきてからのこと
人が行くのは
もう難しいかもしれないね
いまも
そこに星があれば
ここから見えたとしたら
いくらかは青さは残っているだろうけれど
緋の色に近づいてきているはずだ
切ないねえ
元旅猫の詩人屋さんは
ふう、と息を吐いて
珍しくイカ耳になりました