ぼくたちが家族になった頃は
人も空も
つまりはこの星をひっくるめた宇宙が
今よりずっとずっと元気でね
猫たちも三つ目たちも
まあ思うところはあっただろうが
この小さな星で慎ましく暮らしていた
孫は小さかったので
たまにきみの毛糸屋さんで会うぐらいだったが
お目々ひとつケガしたの?
痛い痛いなの?
ある時そんなことを言われてね
こんなに幼くても“視えて”いるのかと
驚いたものだ
妻にもよく歌をねだっていたよ
人たちにとっては不吉な悲しい歌詞だったが
だいじなお歌
ありがとう
聴き終わるたびに神妙な顔になっていたな
旅猫に伝わる歌なんぞ
なんて言わなかったのが
あの子の両親の素敵なところでね
そういえば妻は
まだ旅を続けているらしい
星を渡るのはどんな心持ちなんだろうねえ
きみもあちらこちら渡ってきたのだろう
さぞや恋もたくさん…
いや
これは失礼した
謝るからイカ耳をそろそろやめてくれないかな