地に這う蝉も
彼らを弄ぶ猫らも
かき消す陽光
手持ち無沙汰に爪弾くスマホも
いまは黒々と落ちてしまった
夕涼みは今や秋の季語だと
子どもらに教える日がくると同時に
夏はいつしか懐かしすぎる言葉へ
昇華する
もっとも
かの青い星はそれを待ってはくれないだろうが
久しぶりに宇宙猫から仕入れた
星間の噂だ
あまり気にすることはない
猫そっくりの店主は
一瞬だけイカ耳になりましたが
すぐに真顔になって
ぼくの前にカップを置いてくれました
緋色のコーヒーです
お待たせいたしました
“おしまいのミルク”もいかがですか