猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

魔-1

誰かが咲かせた幸せの花束

ひと舐めして面白くもなさそうに

“これなにかねえ?”

きみはおとといも手に余ると嘆いてた


誰かが見つけたキラキラな気持ち

ひとなでして嬉しくもなさそうに

“これなにかねえ?”

きみは昨日も手に余ると嘆いてた


もらっただけだもん

いらないって言ってたのを

無理やりじゃないもん

でもなんか違うのよねえ


きみは歌うように呟いては

“これなにかねえ?”

たった今ぼくから奪った

かじりかけの真っ赤な実を

掲げてみせた