猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

おつかい〜トーザ・カロットの人々

ミケと一緒に暮らしているおじいちゃんに

不思議なおつかいをたのまれました


えーと

3日目、ノックは3回

それからそれから


おじいちゃんからことづかったことを

反芻しながら

トーザ・カロット岬までやってきたのです


お店に着くと

小さなワークショップ開催のポスターが

風にびゅん!と持っていかれないよう

扉にしっかり貼ってありました


いつものように入ろうとして

窓を叩かなくちゃと

かろうじて思い出し

慌ててお店の横に回ると


とん とん とん


ドキドキしながら窓をノックしました

すると

まるで歩き始めたばかりの子どもが

パチパチパチと

手を叩いたような微かな音がして

窓がほんのり空色に染まりました


ほどなくして

猫そっくりの店主が目をまん丸にして

窓をあけてくれました


きみのおじいさまは

誰かをびっくりさせるのが本当に上手です


そう言って

青く光る瓶をまあるい手で大事そうに

手渡してくれました

そして


気をつけて行きなさい

もうすぐ雪だるまの満月の日だから


まあるい手で頭をなでてくれました


トーザ・カロットの岬には

今日も争いごとを吹き飛ばすような風が

びゅうびゅうと吹いているのです