猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

今でもあなたのことは

ほんの少しも好きではないけれど

身体中のどこを探しても

かけらすら見当たらないけれど

 

あなたの存在が

自分の命につながっている事実

当たり前のどうしようもない

誰もが受け入れていることさえ

どれだけ苦しくて

どれだけ疎ましかったか

 

憎しみが消えても

さびしさすら湧かず

あなたが焼かれてずいぶんたつのに

声も姿も記憶にこびりついたまま

灰色の感情に時折襲われるのです

 

今でもあなたのことは

ほんの少しも好きではないけれど

身体中のどこを探しても

かけらすら見当たらないけれど

 

13年の空白を描いた映画が

まるで自分のことのように

思えてならないのです