猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

街は灰色でした

街は灰色でした

いつも何かに渇望し

いつも何かを探し続けて

街は灰色に染まっていました


悲しみと喜びが交互にやってくる

そんな法則からすっかりとり残され

街はいつも灰色でした


街はいつも旅人で賑わい

誰もがそれを受け入れて随分たちます

悲しみより喜びが重なり続けてくれるなら

そう願ったのです


それでも

街に漂う記憶はやはり

誰も肩代わりできないほど悲しくて

よく晴れた日も

空は薄い灰色を帯びていて

列車が大きな駅にさしかかるたび

わたしは胸が痛くなるのです