猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん-17

トーザ・カロット岬の突端に

背の低い花が揺れています

リサラヌアの花です


ひときわつめたい風が岬に吹く頃になると

まるで絵筆に染められているように

それまで透明だった花弁は

ゆっくりゆっくり雪の色をまといはじめるのです


猫そっくりの店主は

誰よりもそれを楽しみにしていて

お店の周りを朝早くから散歩しているそうです


星の流れる音が聞こえた翌朝

運がよければ

目を細めて花を眺めている店主に

会えますよ


今日もトーザ・カロットの岬には

嫉妬すら飛んでいきそうな強い風が

びゅうびゅうと吹いているのです