猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

粉雪

うさぎたちが風を磨き終えて

雪を降らせる雲の上でひと休みしています

今日の地上はまたずいぶんと冷え込んでいるらしく

心も体もぎゅううと縮こまった人間たちが

不機嫌そうに歩いています


思い思いに雲の上からこっそり地上を見下ろしているうちに

一羽のうさぎが小さな白い影を見つけました

あまりにも自分とそっくりだったので

思わず雲から耳がぴょこん


“うさぎ、うさぎ”


ぷくぷくの手で雲をつかもうとする

子どもと目が合いました

ふわふわのポンチョが右に左に

ゆらゆらしています


うさぎはあわてて耳をひっこめながら

雲のはしっこをちょっぴりちぎって

子どもにふりかけてあげました


キラキラ

パリパリ


上等のチョコレートを

噛み割ったような音がして

やさしいやさしい粉雪が降りました