さっくりさっくりと雪を踏みしめ
猫そっくりの店主は
いつものくぼみまでやってきました
小脇にとっておきのお土産を携え
幼馴染に会いにきたのです
お互いがお互いを風変わりだと思っていた頃
言葉はあまり意味を持たず
ただ
見上げた空に揺れる雪だるまの満月に
ふたりして
“ハァァ”
それは大きなため息をついてからというもの
急速に仲良くなったということです
今日は店番を頼んで大急ぎでくぼみにやってきました
くぼみは暖かくほんの少し夏の匂いがして
毛糸屋の店主は本物の猫みたいに目を細め
喉をゴロゴロ鳴らしました
“お年賀”
という宇宙語を覚えたばかりでした