猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

使いまわし

使いまわした思い出話を

注意深く彫り出すかのように

話して聞かせる人がいる


くりかえし

くりかえし

さっき食べたものは忘れてしまうのに


“もういいよ”

背中をトントンしてにっこりしてみせると

ようやく安心して寝息をたてはじめた


使いまわした恋の話を

見てきたかのように

舌の先で操る人がいる


くりかえし

くりかえし

自分の狡猾さは忘れてしまうのに


“もういいよ”

頭をポンポンしてにっこりしてみせると

話足りないとばかりに

背中に爪をたてた