猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

毛糸屋さんのこと

トーザ・カロットという岬にある

毛糸屋さんは

猫にそっくりな店主が

営んでいます


お客は

編み物好きの人や

空が好きな人

雨の日にしか来ない

窪みの住人

居場所を探している少女

店主によく似ているけれど

耳慣れない星の言葉を話す者

さまざまです


毛糸の名前は一風変わったものが多く

黄色 赤色 白色

そんな名前のものは見あたりません


海や川のある街に出かけたり

風が強い日になると


ああ 毛糸屋さんの近くの森も

いつものように

びゅうびゅうざわざわ

鳴っているに違いない


なあんて思いながら

ちょっと上等のコーヒー豆を

買ってみたりするのです