猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

三つ目と幼なじみ

その子は

嬉しいときにっこりするより

喉をゴロゴロ鳴らすのが得意でねえ

あんまり気持ち良さそうだから

うがいするとき真似してみたけど

あたしら三つ目には到底難しい


満月が雪だるまの形をしていても

びっくりしない

三角の耳と長いしっぽがおしゃれなのに

それが悩みだって

こっそりうちあけてくれたっけ


瞳がまあるくなったり細くなったり

そんなことはどこふく風だったが

素敵に映ってることほど

本人はどうにかしたいと

頭を抱えてるって知ったのも

その子と仲良くなってからなのさ


今どうしているかって?

そりゃあんた

とびきりの仲良しに決まってるさね


毛糸屋の店主なんぞやっていて

コーヒーを淹れるのが上手でねえ

毛糸屋にしとくのはもったいないなんて

余計なことを言っちまっても

やさしく喉を鳴らしてる

そんな子だよ


次のどしゃ降りの日に

あんたも一緒に行ってみるかい?