猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

椎の実

秋がコロコロ転がるみたいと

君はふざけて

椎の実でお手玉をする


ふたりがまだ

それぞれの

カケラでも季節でもなかった頃


ぼくたちはようやく

誰かのカケラか季節になれたのだと

無理やり何かを押し込めていた


そんなところは似すぎていたけど

出会ったのは偶然ではないのだろう

ぼくたちはようやく

押し込めていた大きな何かを

取り出すことに成功したのだから


秋がコロコロ笑うみたいと

君はふざけて

椎の実でお手玉をする


ぼくは君の腕に尻尾をからめて

またうとうとする