猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

雨と三つ目

どす黒い雲が

あたしらの住処まで流れこんでくる

なんでも人が増えすぎ車が増えすぎ

それで雲がもくもく立ち上がるらしい


そんな日の雨からは

やさしさも寂しさも感じることができず

ただただ辛い

仕方ないので

ひとつだけ目を開いておくことに

するんだ


一瞬だけ空が青くなっても

それは見せかけの晴れ間で

すぐにまた

どす黒い雲が

あたしらの住処まで流れこんでくる


あたしら三つ目は雨が好きだ

傘に隠れて歩けば

誰にも知られずにいられるからね


やまなければいい

ほんの通り雨にもそんな願いを

抱いてしまう


だが

このところのどす黒い雲には

あたしらもお手上げなのさ

早く三つとも目をあけたまま

ふつうの雨の中を

ふつうの気持ちで

歩きたいものだねえ