猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

こぼれていった

無意味に泳ぎ続けることに飽きて

岸にすわりこんだ


楽しげなさざめきも

うつろな気分も

欲望も祈りも憎しみも

塊になって流れている


水面をのぞきこめば

とびきり醜いあたしが浮かんでて

慌てて指先でかき回した


今は泳ぎ続けるのに飽きて

なんとなく岸にすわりこんだ


輝く言霊も

薄れゆく自我も

諍いも夢も嫌悪も

塊になって流れている


水面をのぞきこめば

いつの間にか誰もいなくて

慌てて両手で水を掬ってみた


あたしが揺れて指先からこぼれていった