猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

わたしたちの取り分

わたしたちの取り分は

そんなに

多くはなかった

 

羽根をもつもの

雨を待つもの

光を望むもの

闇を好むもの

 

たいていの命は

そのうちの

いくつかに属して

つつましく

空を分け合ったのです

 

わたしたちは

取り分よりもよけいに

手にいれたがった

 

羽根を持たず

雨をくぐり

光を作り

闇を恐れる

 

空の色さえ

変えられないくせに

空をなくしても

気づかないくせに

 

少ない

足りない

もっともっと

 

やがて

取り分を使い果たして

喧嘩を始めるのだ

 

よこせ

どいていろ

俺のものだ

黙ってろ

 

空をつつましく分け合っていた

命をけちらし

有無を言わせず

ひとりじめするのです

 

空をなくしたことさえ

気づかないくせに

空なんて

知らないくせに