急にオムレツが食べたくなった。
空模様とにらめっこして、早めに買物を済ませる。
ぽつりぽつり、と何かを告白するような雨粒は、たちまち大号泣。街も車も隠してしまった。
バターの香りのするオムレツは、幼い頃から苦手だ。
どんなに大好きな具材でも、どんなに素敵な卵でも、お洒落な調味料であっても。
残すほどではなく、アレルギーもない。
それでも苦手なものは、親元を離れれば自然と食卓にのぼらなくなる。
自分のために作るオムレツは、本家本元のそれとは似ても似つかぬ装いとなるのだ。
円形の耐熱容器に野菜や肉類を適当にちりばめ、溶き卵を回しかける。
それを電子レンジで加熱する。
調味料によっては卵焼きの様相となるが、オープンオムレツと呼べなくもない。
表面が笑う猫の幸せ感を醸し出せば、出来上がり。
もちろん、フライパンでも。