食卓には
おかずのほかに
愚痴やら誰かの悪口やら
ついには連れ合いへの不平不満やら
日常茶飯事とはよく言ったもの
それらが並ばない日は稀だったものだから
私も妹も
家族全員が揃う夕食どきは苦痛でたまらず
黙りこくって飲み下し
宿題するね、と明るく席を立つか
明るい話題を振りまき
歯磨きするね、と何食わぬ顔して席を立つか
つまりは
家族仲はよろしくはなかったのである
家を出たいと思ったのは
割と早くて
幼稚園にもあがらない頃であろう
魂年齢とはよく言ったもので
親たちの振る舞いは子どもじみているのを
どこか呆れて眺めていたが
流石にこちらが幼すぎ
気の利いた言葉を知らなすぎた
不思議なもので
本格的に家をあとにしたのは
いい大人になってからだ
人生一筋縄ではいかないが
人生を編み続けるのも悪くない