猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

食卓には、おかずのほかに

食卓には

おかずのほかに

愚痴やら誰かの悪口やら

ついには連れ合いへの不平不満やら

日常茶飯事とはよく言ったもの

それらが並ばない日は稀だったものだから

私も妹も

家族全員が揃う夕食どきは苦痛でたまらず

黙りこくって飲み下し

宿題するね、と明るく席を立つか

明るい話題を振りまき

歯磨きするね、と何食わぬ顔して席を立つか

 

つまりは

家族仲はよろしくはなかったのである

 

家を出たいと思ったのは

割と早くて

幼稚園にもあがらない頃であろう

 

魂年齢とはよく言ったもので

親たちの振る舞いは子どもじみているのを

どこか呆れて眺めていたが

流石にこちらが幼すぎ

気の利いた言葉を知らなすぎた

 

不思議なもので

本格的に家をあとにしたのは

いい大人になってからだ

 

人生一筋縄ではいかないが

人生を編み続けるのも悪くない