白い猫と黒い猫が
しっぽをからませたぬいぐるみが
とてもとても好きだった
そのまま抱えていては
注目の的
バッグに入れれば
ハンカチもポケットティッシュも行き場をなくす
車なら同乗者の不興を買う
それでついには
ぬいぐるみにも猫にも
気のないそぶり
本当に大切で
本当に好きなものは
親に隠したほうが
みんなの笑顔につながる
そんなことに早いうちから
気づいてしまったから
子どもでいるのもなんと面倒なものか
こっそりため息をついた
小学生の夏休みだった