猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ペンダント

人の心ほどではないに違いない。

絡まった鎖を不器用にほぐしながら、女は思う。

 

時を経ても、傷は広がり続けるか深くなる。

忘れられないのはこちらだけだとしてもだ。

納得と疑念がよりよりより、とねじられひねられ見えない枷となっているのは、誰より知っているとしてもだ。

 

あなたが、嫌いだ。

似過ぎていて大嫌いだ。

 

女の指先に力がこもり、鎖を取り落とす。

ふう、とため息をつきまたやり直す。

 

あなたが、好きだった。

大好きだった。幻想だったけど。

 

小さく軋む音がして、手元が軽くなる。

女はペンダントを胸元に飾った。