猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

日常と似て非なるもの

12月から1月の頃

不注意から腕を傷めて

少しばかり買い物が難儀になった

 

車もなく

家族も少なく

買い物は自分の役目である

 

となると

食材などは少しずつ買い足せばよいとして

困ったのは

かさばりがちなトイレットペーパーや

箱ティッシュ

 

そこで

普段使いするものであるからと

初めてペーパー類の箱買いをした

使いきる頃には腕も治り

買い物に難儀することもないだろう

そう踏んでのことである

 

それから数週間も経たぬうちに

この騒ぎとなり

安堵と恐怖と不安が一度に

押し寄せたのは言うまでもない

 

さらに数日が経ち

傷めた腕も癒えた

 

さて

喉元過ぎればなんとやらとは

よく言ったもので

(個人的にはちっとも飲みくだせてはいないが)

いつものスーパーでは

あれほどガラガラだったのに

人が混み合っている

 

通路に誰かいれば警戒して近づかない

 

そんなこともなくなり

マスクびとも

マスクなしびとも

互いに会釈ひとつで

すれ違う

 

とは言え

物流のストップはないにしても

ペーパー類の棚には

相変わらず

「ひと家族(⚠️ひとりではない)につきひとつ」

の貼り紙

 

それが外れるのは

桜が散る頃か

あるいは

夏だろうか秋だろうか

 

日常と似て非なる時を

過ごしながら

こっそりため息をつき

それでも合間に

なんでもないことで

うふふと笑える幸せを

この上なく愛しく感じている