猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

猫とキャンディーと少女

あたしはこの日も

ママお手製の

甘酒キャンディーを

ほおばってた

ちょっとだけ中のほうが

固いけど

どこか懐かしくて大好きな味

 

電車はすぐには来ず

友達は別の路線で帰っていったので

しばらくは

こうして雲を数えてるの

 

ふと

ホームの端っこで

エプロン姿の猫が

編み物してるのに気がついた

 

この星の

あちらこちらに

猫そっくりの生き物がいると

ママは言ってたけど

あたしはまだ

そんなにたくさんは出会っていない

 

 

編み物する猫かぁ〜

ママはもつれされるほうが

得意だもんね

猫さんに教えてもらえたら

いいのにねえ

 

そんなことを思いながら

猫の編み物を見てたけど

どうやっているのか

ちっともわからない

 

人らには魔法は見えても

使いこなせないか

魂をすり減らしながら

生きることになるからなのですよ

 

いつの間にか

猫は小さなブローチを編みあげていて

 

お母さまによろしく

 

ブローチを

まあるいふかふかの手で

渡してくれた

 

ありがとうございます

甘酒の飴

猫さんも食べますか?

パパがどこかで教わってきて

ママがこしらえたの

 

では

ブローチと交換ですね

ありがとう

 

あたしの乗る電車がやってきて

猫さん、またねと立ち上がる

 

芯の強さは

お母さんによく似ていますね

 

猫は

甘酒キャンディをもぐもぐしながら

にっこりした

 

今日も風が素敵に吹いていて

空は落ちることを忘れちゃったみたいだ

あたしは電車の中から

猫に手をふった

 

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