猫街の夜明けが、ずいぶん遅くなってきた。
もう冬そのものなので、遅く帰ってきて鍵穴に(正確には冬の欠片に)話しかけていても見咎められることはない。
ありがたい😢
これ以上、「寒くなった!」と言われても、何も対処できないから困る。
そういえば、駅向こうの毛糸屋がしばらくぶりに店を開けたそうだ。
風変わりな便りを受けとった。
「雲色した猫のお皿に蜜柑をひとつ、詩人さんへ」
蜜柑。
またきます、と毛糸屋の店主が約束した、あの木が実をつけたのだろうか。
お言葉に甘えて、ついでにいつかのシロップの出来栄えなど尋ねてみるか。
冬は当分、猫街に居座るのだ。急ぐことはない。