これなにかねえ
きみはぼくからとりあげた
紅色の実を齧り続けている
美味いのか
よかったなと言いたいが
あいにくきみに言葉を
とりあげられた
胸の奥までがらんどうで
恋とはどんなものかも思い出せやしない
これなにかねえ
きみはぼくからとりあげた
黒い実を弄ぶ
あたしのことなんて
見てなかったんだから
ひとつちょうだい
じっと見つめて
きみはその通りにしたんだったな
楽しいのか
よかったなと笑いたいが
あいにくきみに顔を
とりあげられた
つまんない
もうとりあげるものがなくなっちゃったわ
きみは満足そうに笑って
黒い実にキスをした