猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

雲合わせの夕刻

猫街区域は夜のはじめまで空落ちにご注意ください
その後は雲合わせのできる気象条件となるでしょう

 

立ち上げたままの音声アプリが

風変わりな天気予報を告げる

雲予報士による特別予報で

素敵な音楽の

音符と音符の間に隠されるように流されるものだから

知る人ぞ知るといったところだ

 

雲合わせは夕刻にするものだと

昔の恋人は教えてくれた

その人は雲予報士であたしはただの見習いで

そうなんだ、あれとあれでしょ?なんて

強がりを言ったものだ

 

空が落ち始めて

恋人はとても忙しくなって

あたしはようやく仕事をひとりで回せるようになって

なんてことないことで喧嘩して

なんてことない天気の日に終わったのだっけね

 

今日隠されていた予報は

聞き慣れた人の声ではなかったけれど

空落ちがおさまった頃

今夜はのんびり雲を合わせて懐かしむことにするよ

夕刻だと泣いちゃうからね