食い荒らされた心の穴を
モノで埋(うず)め始めた
初めは砂粒のようなピアス
きみは「化粧を変えたの?耳元がキレイ」と
笑ってくれて
穴はすぐに塞がった
次に小さいけれど
ほんとのダイヤのペンダント
ハイヒールを履いた日にすまし顔でつけてみた
きみは
目の前のステーキに夢中で顔も上げず
「美味しい」とモゴモゴ呟く
穴は半分も塞がらなかった
いつだったか
舌を噛みそな名前のワンピを纏って
きみの隣に寄り添った
「忙しいから」
妙にハキハキした口調でテキパキと
きみはどこかへ行ってしまう
穴はどんどん広がった
もう買うものは思いつかず
あたしは服に埋(うず)もれる
さびしいってほんとは
どんな感情なのか思い出せなくなるまで
穴を広げつづけてる