猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

恋人たち

誰も知らない場所に落ち着き

ふたりは全てをさらけ出す

もう言葉も熱もいらないほど

わかり合っていたはずだった

 

誰も振り向かない場所に落ち着き

ふたりは全てをさらけ出す

もう言葉も抱擁もいらないほど

寄り添っていたはずだった

 

不安などは些細なこと

不満などは微細なこと

不信などは無関係

 

だが

時代とともに視線も割り増しされていく

無作為な悪気のない(とされる)

無遠慮で無意味な

 

そして今日も定点カメラが街を遮る

ふたりはもう出会えない