猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

かみさまとうさぎ

虚空に青い光が見え隠れしています

 

ぷかりぷかりと

浮かびながら

くるんくるんと回るさまを

風磨きのうさぎたちは

遥か遠くからこわごわ眺めていました

 

なにもかも

星ごとぷかぷか溺れているもので

風磨きどころではなくなってしまったのです

それで

お天気をつかさどるかみさまは

うさぎたちを連れて

しばらくの間

小さな青い星をお離れになったのでした

 

宇宙の単位で

ほんの数時間

あるいは数日

そうすれば溺れている星も

少しは落ち着くに違いない

 

かみさまは

これまでもそうだったように

人らの暮らしに深く介入はせず

ひたすらにあたたかく見守っておりました

 

ですが一向におさまらず

虚空にまで飛沫が飛び散りそう

まるで

小さな青い星の周りだけが

宇宙のことわりから取り残されてしまったようです

 

せめて風でも吹かせられたらよいのですが

すでに

遠くまで来てしまいました

 

お天気をつかさどる者が離れれば

水も光もますます暴れることでしょう

うさぎの奏でるリュートを聴きながら

かみさまは

いっそう悲しい顔をなさったのでした

 

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