猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

心を診る猫の医者-5

仕事はこなしているし

同僚とも上司とも

関係は良好

恋人はいつもハグしてくれる

なのに世間の視線ってやつが

時々痛くてたまらない日

叫び散らかしたくなるんだ

 

頭を抱えてしまったその人に

心を診る猫の医者は

こんなことを尋ねます

 

数を逆に数えたことはありますか?

 

え、多分

子どもの頃はよくやってたな

最近は計算することも少なくて

 

そう

では大きいほうから3つ引き算しながら

戻るというやり方は

 

その人は

頭を抱えたこともすっかり忘れて

首を横にふりました

 

100から97 94 91

順番にゆっくりでいいので

数えてみましょう

間違ってもつっかえても気にしないで

 

猫の言う通りに

その人は遡っていきます

大きな数から小さな数へ引き算しながら

順繰りにたどたどしく

 

ええっと

7、4、1

できた!面白いもんですねえ

 

心を診る猫の医者は

ピカピカ笑顔のその人に

気分はどうかと尋ねました

 

ああ、そうですね

数字が最後にはどうなるんだろうと

そればかり考えていたので

他のことは何も気にせずにいました

 

うんうんと

猫の医者はやさしく頷きました

 

しばらくの間

寝る前や泣きたくなった時に

今のように遡ってみてください

慣れてきたら

スピードアップしても

引く数字を変えてみてもいいですよ

ただし

結果をあまり気にせずに

 

そして

「お大事に」のかわりに

「にゃぁご」と楽しげに鳴いたのでした

 

 

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