お天気をつかさどるかみさまが
そよ風の中に
細く細く鋭いのを二、三本混ぜておくよう
風磨きのうさぎに命じました
いくら風やすみの年だとはいえ
うららかな日よりばかりでは
岬に暮らす人らも猫らもぼんやりしてしまうからです
風磨きのうさぎは
この前岬で集めてむしゃむしゃやった残りを
大事そうにとりだすと
ふかふかの前足でいつものように
ていねいに磨き始めました
やがてキラキラ輝き始めたら
できあがり
いつもだったらそこで手を止めるのですが
今日はかじってみたり伸ばしてみたり
そうこうしているうちに
銀色がかった糸のような
細く細く鋭い風ができました
少しだけ冷やしておいたそよ風に
出来上がったばかりの細く細く鋭い風を
二、三本編み込んでから
岬の上に広げるのでした
ものの数秒で
岬一帯にひんやりした風が満ちていきます
人らも猫らもなんだかすっきりした心持ちになって
ようし!とにっこりするのでした