猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

冬の入り口-1

へろへろと帰宅して、いつものようにキーケースを取り出す。

深く考えもせず、定位置に鍵を突っ込もうとして「え!」と思わず声が出た。

このところ、探しに探していた冬の入り口がへばりついているではないか。

 

灯台下暗し。

お前が隠したに違いない、とよく言われるのだが、本当に詩人の住む家で見つかるとは。

 

刺激せぬよう、用心深く鍵を突っ込む。

指先がひんやりした。風もないのに。

いずれはその辺の雲に溶けてしまうのだろうが、何はともあれ、ようやくこの暑さも人々に忘れ去られていくことだろう。

 

今夜はさつま汁にするかな。

詩人は、もう少しだけ冬ごしらえを進めておこうと決めた。