猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ショコラオレンジの夕闇-3

変わり続ける風景の中

茫然としていると

いつの間にかすぐ近くに

猫そっくりの生き物が立っていた

 

魔法が見える人よ

ここにいてはいけない

 

猫はそう言うと

ふかふかのまあるい手でうながした

 

この道をまっすぐ行くと

ショコラオレンジ色の駅があります

すぐに列車が到着するので

それに乗って

“毛糸屋さんのいない街”という駅で

降りなさい

あとはフリュの店長を頼ればいい

 

猫さん

また会えますか

 

心細くなって思わず話しかけた私に

猫そっくりの生き物は

静かにうなずき

 

ご縁があればいつかきっと

 

そして

「気をつけて」のかわりに

「にゃぁ」と鳴いた

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