変わり続ける風景の中
茫然としていると
いつの間にかすぐ近くに
猫そっくりの生き物が立っていた
魔法が見える人よ
ここにいてはいけない
猫はそう言うと
ふかふかのまあるい手でうながした
この道をまっすぐ行くと
ショコラオレンジ色の駅があります
すぐに列車が到着するので
それに乗って
“毛糸屋さんのいない街”という駅で
降りなさい
あとはフリュの店長を頼ればいい
猫さん
また会えますか
心細くなって思わず話しかけた私に
猫そっくりの生き物は
静かにうなずき
ご縁があればいつかきっと
そして
「気をつけて」のかわりに
「にゃぁ」と鳴いた