もう10分も過ぎて
だけど他にすべもなく
バスが来るのを待っている
時間、わかりますか
同じく所在無げに立っていた女性が
話しかけてきた
そこから
なんとはなしに正月頃のことやら
手放したいもののことやら
ほんの数分話が弾んで
ほんの少し気が紛れた
自分の乗るバスが先に来て
それは見慣れない番号だったが
降りる停留所を経由していくので
女性に
では、と軽く頭を下げて乗り込んだ
バスが動き出してから
その人に会釈したが見えたろうか
また会えそうな
もっと話していたいような
不思議な空間に私たちはいて
寒空をほんのり忘れた