猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

安眠のための新しい習慣

さく、さくっ。

飽かずにくりかえす、単調な動き。

妄想の中で、ぬるぬるどす黒くなっていく。

 

さく、さくっ。

何度も何度もくりかえす。

妄想の中で、すでに僕の器はなくなっている。

 

さく、さくっ。

どれほどくりかえしただろう、眠気が襲いかかり、

夢とうつつの往復が始まった。

 

呼吸を整える。

水を飲む。

間接照明にする。

スマホの電源をオフにする。

ストレッチをする。

 

良いとされる寝る前の儀式は、

いずれもしっくりこなかった。

抱き合う相手はすでに夢の中、羨ましすぎる。

 

そこで始めたのが、

「さく、さくっ」の妄想だった。

体も頭もすっかり疲れ、

朝には何もかも忘れている。

 

抱き合う相手は何も知らない。

ただ、弁当のおかずには、

レバー率やひじき率が増えたようだが。

 

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