さく、さくっ。
飽かずにくりかえす、単調な動き。
妄想の中で、ぬるぬるどす黒くなっていく。
さく、さくっ。
何度も何度もくりかえす。
妄想の中で、すでに僕の器はなくなっている。
さく、さくっ。
どれほどくりかえしただろう、眠気が襲いかかり、
夢とうつつの往復が始まった。
呼吸を整える。
水を飲む。
間接照明にする。
スマホの電源をオフにする。
ストレッチをする。
良いとされる寝る前の儀式は、
いずれもしっくりこなかった。
抱き合う相手はすでに夢の中、羨ましすぎる。
そこで始めたのが、
「さく、さくっ」の妄想だった。
体も頭もすっかり疲れ、
朝には何もかも忘れている。
抱き合う相手は何も知らない。
ただ、弁当のおかずには、
レバー率やひじき率が増えたようだが。
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