雨が雪を黒く染めれば
やがて春がやってくる
心に降る雨は
何も染めてはくれないのだ
引き裂かれようが
血が流れようが
洗い落とすことも
逃れることも
叶わず
そのまま片隅に
追いやっているだけに過ぎぬ
雨が雪を黒く染めれば
必ず春がやってくる
心に降る雨は
何も教えてはくれないのだ
千切れようが
燃え盛ろうが
消し去ることも
縫い合わせることも
叶わず
そのまま片隅に
追いやっているだけに過ぎぬ
時が移ろい
街も移ろい
そしてようやく立ち上がれば
心もほんのり赤みを帯びるのである