猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

シチュー

そばにいるのに孤独が深くなるばかりで

ふたりは

それに気づかないよう静かに暮らした

 

男は酒に溺れ

女は花に溺れ

すでに互いを見てはいなかった

 

バランスよい食事は

並べるそばから嘘になり

食卓は幻想に汚れた

 

「行く場所なんてないくせに」

「帰る場所なんてないくせに」

 

男も女も

こみ上げそうな言葉を

シチューといっしょに

のみくだしていた